【本日の名言】『人間万事塞翁が馬(読み方:にんげんばんじさいおうがうま)』は中国前漢時代の皇族・学者だった劉安によって残された言葉、故事成語、慣用句、ことわざであるが、意外と知らないその意味とは?元になっているお話の教訓とは?
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目次
『人間万事塞翁が馬』の読み方・意味とは?
『人間万事塞翁が馬』の読み方は『にんげんばんじさいおうがうま』
- 人間:読み方:にんげん(この場合じんかんと呼んでも間違いではない。)
意味:人の住むところ、世の中、世間、人、またはひと全体。 - 万事:読み方:ばんじ
意味:全てのこと。あらゆるものごと全部 - 塞翁:読み方:さいおう
意味:北の砦(とりで)「塞」に住む翁(おきな):老人男性 - が馬:この場合の「が」は所有格の「が」である、意味は通じるが「塞翁の馬」とするのは間違い。
書いてある通りに直接的な意味に要約してしまうと
「世の中の全ての物事は北の砦に住む爺さんの馬」となってしまい、意味がわからないが・・・
ことわざ・慣用句・故事成語としての『人間万事塞翁が馬』の解釈・意味するところは?
単に『塞翁が馬』ともいい、意味は
- 世の吉凶禍福は天変常なく、何が幸せで何が不幸か予測し難いことを言う
禍福に一喜一憂するのは賢明ではないという教え - 人生の幸も不幸も予測することは難しいというたとえ
「禍福(かふく)」とは災い(わざわい)と幸せ/不幸と幸福のこと
ことわざとしての意味はわかったけども、この言葉はどんなお話からできたのか?
簡単にストーリーを中国の故事『塞翁失馬』のお話をご紹介しよう・・・
『人間万事塞翁が馬』の出典から紐解くと?塞翁が馬はこんなお話
『淮南子(えなんじ)・人間訓』の故事『塞翁失馬』より
その昔、中国の北の塞(サイ=砦とりで)の近くに占いの得意な老人がいた。
この老人が塞翁さんである。
塞←(塞:サイ(とりで)
に住む
翁←(翁:老人男性の敬称:爺さん)
このおじいさんの馬、塞翁の馬が、隣の国、胡(こ)の国に逃げていってしまった。
それを知った隣人は
馬が逃げてしまったことを気の毒がったが
塞翁じいさんはこう言った
「これは幸福の基になるだろう」
すると、それからしばらくして逃げた馬は
胡の国から駿馬(しゅんめ、足の速い優れた馬)を連れて爺さんのもとに帰ってきた
隣人はそれは良かった!とお祝いすると
今度は塞翁老人こう言った
「これは不幸の基となるはずだ」
塞翁爺さんの家は良馬に恵まれたが、喜んで騎馬(馬にまたがって走る)した
爺さんの子供が落馬してしまい、足を骨折してしまう。
隣人がそれをお見舞いすると…
塞翁爺さん、今度はこう言った
「これが幸福の基となるだろう」
1年後に胡の国の軍勢が大挙して攻め入ってきたために、
若者のほとんどが戦死してしまったが
足を骨折していた塞翁じさまの子供は戦わずに済んだため、親子ともども助かったという。
この中国の故事(塞翁失馬)から『人間万事塞翁が馬』という言葉が生まれ
「人生の吉凶(縁起の良いことも悪いこと)も
禍福(わざわいも幸福)も
予測することは難しいということ」のたとえとなった。
劉安(中国前漢の皇族 学者)とはどんな人物?
劉安(りゅうあん)とは中国の前漢時代の学者であり,皇族[淮南王(わいなんおう)]
高祖劉邦の孫である。
紀元前(BC)179年(?)誕生〜紀元前BC122年没
代表する編著『淮南子(えなんじ)』
劉安は景帝に対する謀反(むほん)『呉楚七国の乱』を企てるが果たせず
その後、武帝の時代に再び挙兵するも事前に発覚し、捕らえられて自殺した。
劉安は学問を好み、多くの賓客とともに『内書』21編、『中書』8編、『外書』23編を著した
代表する編著『淮南子(えなんじ)』は『内書』の一部
人間万事塞翁が馬の出典は『淮南子(えなんじ)・人間訓』の中の「塞翁失馬」の話から
『淮南子(えなんじ)』は淮南王(わいなんおう)の劉安が編集させた21編からなる論集である。
老荘思想を中心にした儒家・法家思想などを取り入れた古代中国人の宇宙観が具体的に記述されているため、
前漢の初期の道家の思想を知るための貴重な資料である。
「人間万事塞翁が馬」の類似表現
類似表現には
『禍福は糾える(あざなえる)縄の如し』
この世の幸も不幸も、より合わさった縄のように、常に入れ替わりながら変転する
災いも幸せも撚り合わせた縄のように表裏一体であるということ
「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり』(しずむせあればうかぶせあり)
人生のうちには悪い時もあれば良い時もあるということ
悪いことばかりがつづくわけではないことを例えていう。
ちなみに、「浮かぶ瀬あれば立つ瀬あり」のような言い方はしないので誤りである
似ているが全く異なる言葉
「人間万事金世中(にんげんばんじかねのよのなか)」は河竹黙阿弥(もくあみ)による
歌舞伎の散切物(ざんぎりもの)
原作はリットンの作品『The money』で日本を舞台として翻案したもの日本初の翻案劇である。
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