【本日の名言】「人はしばしば 贋物(にせもの)の方を賞賛し本物をあざける」とは古代ギリシャの寓話作家・イソップによるものだが、その言葉の意味・解釈・教訓とは?『イソップ寓話』とはなに?『イソップ物語』に代表されるお話とは?イソップは本当に実在したのか?などについて
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目次
「人はしばしば 贋物の方を賞賛し本物をあざける」の意味・解釈・教訓とは?
この言葉の出典は古代ギリシャの寓話作家イソップによる『イソップ物語』からの教訓である
イソップによる寓話作品は童話になったり、各国の言葉で何度も翻訳を重ねてきているため
版によってタイトルは様々変化するが
「人はしばしば贋物(偽物・ニセモノ・贋作)の方を賞賛し本物をあざける」
という教訓が描かれているお話はおそらく
『虚飾で彩られたカラス』『美しい鳥のコンテスト』『鳥の王様選び』『王様になりたかったカラス』『おしゃれなカラス』など様々な題名で語られている。このイソップ寓話のお話だろう。
このイソップ寓話(ぐうわ)のあらすじは概ね簡単にいうとこのようなもの…
ある時、全知全能の神様ゼウスは、最も美しい鳥を王様にすると決めた。
集合日時を伝え、コンテストのようなものを行い、参加者で一番美しい鳥を王様にするということを知らせた。
カラスは自らの黒い羽は醜いものだと思い込み、美しく装おうとし
飛び回っては、他の鳥たちが落とした羽を拾い集めて自分の全身に貼り付けて着飾り、コンテストに参加した。
ゼウスは色とりどりに着飾ったカラスの羽が最も美しく見えたので、彼を王様にしようとしたが
他の鳥たちは猛抗議、猛反発して、それぞれ見覚えのある自分の羽をカラスから引き抜くと
もとの黒い羽のただのカラスが現れた。
この話から得られる教訓としては
本物を見抜けるという人は案外少なく、見た目の華やかさに惑わされてしまうもの。
本物に見て触れて成長してきた人でないと本物を見抜くというのは難しいもので
神様ですら偽物に気づけなかったというこのイソップ物語のお話は、
本物を見抜く力を育むのは難しく、どんなに着飾って見た目を良くしたところでうわべの嘘や偽りには意味がない。
他力でのし上がろうと、最初は他人を欺くことができても、あとから必ず暴かれる(バレる)という教訓話である。
この話の結末は、「カラスがもしも自分の黒い羽に自信をもち、その黒い羽に磨きをかけていたならば結果(評価)は違うものになっていたかもしれない。」とするパターンもあり、その教訓は自分自身を受け入れること、そしてその自分自身(自己)を磨き上げ努力することが大切であるということ。
寓話(ぐうわ)とはなに?どんなもの?
イソップの物語に代表される、寓話(ぐうわ)とは、
教訓的、独特的、風刺的な内容の物語を擬人化した動物などに託して語る物語のことをいう
教訓を目的としたわかりやすいショートストーリーが多く、登場人物はおもに動物で、それらの動物は人間を象徴するが、外見はその動物特有なものを保持している。
イソップ寓話とされる物語の代表例
タイトルは若干異なる場合も多々あり、元はイソップ寓話の一つの話が歴史の中で日本の昔話となっているものもある。
寓話のタイトル例 | 教訓 |
「アリとキリギリス」 | 将来に来る危機に備え常に準備をしておくのが良いという意味と、せせこましく溜め込んでいるものは餓死寸前のものにすら食べ物を差し出さずにケチで冷酷で独善的という教訓もある。 |
「犬と肉(欲張りの犬)」 | 欲張ると元も子もないという話 |
「ウサギとカメ」「兎と亀」「狐とタニシ」 | 過信は油断を生む。地道にコツコツ着実に進む方が大きな成果につながる |
「嘘をつく子供」「狼少年/オオカミ少年」「狼と羊飼い」 | 嘘をつき続ければ、たまに本当のことを言っても誰も信じてくれない。 |
「雄鶏(おんどり)と宝石」 | 立場によって者の価値は変わる |
「北風と太陽」 | 冷たく厳しい態度は人を頑なにし、暖かく優しい態度によって人は能動的に動く |
「金の斧」「金の斧と銀の斧」 | 正直者が得をし、欲深い不正直なものは損をする(罰をうける) |
「3本の棒」 | 個人でやるよりも協力して行う方が大きな効果が得られる |
「ずるい狐」 | 無益な争いは第三者の私腹を肥やす |
「ねずみの恩がえし」 | 小さなことでも他人に施した恩は必ず自分に返ってくる |
「卑怯なコウモリ」「蝙蝠(こうもり)と鼬(いたち)」「鳥と獣と蝙蝠」 | なんども寝返りり八方美人に振る舞えば誰からも信用されなくなる。しかし、争いの中で状況変化に合わせて臨機応変に振る舞うことは生き残るために必要だという教訓もある |
「ろばを売りに行く親子」 | 周囲の意見に流されるとろくなことがない |
イソップのその他の名言
- 「真の友情は災難に遭遇した時にはじめてわかる」
- 「感謝は高潔な魂の証である」
- 「安全な場所に身を置いて勇敢であるのは簡単なことだ」
- 「不幸なる人々はさらに不幸な人々によって慰められる」
- 「ある場所で不満を感じているものは、別の場所へ移ってもまず満足は得られない」
ギリシャの寓話作家・イソップは実は存在しなかった?
日本ではイソップとして知られる寓話作家
ギリシャ名:Aisopos アイソポス(アイソーポス)/英語表記Aesop(イソップ)
古い日本語標記は伊曽保(イソポ)
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紀元前(BC)6世紀ごろの古代ギリシャの人物とされる
生年不詳?BC620年頃〜BC564年頃没といわれる
イソップとはギリシャの伝説的な寓話作家で
イソップ寓話(ぐうわ)の作者とされる人物である。
古代ギリシャの歴史家・ヘロドトスによると
イソップはサモン島の奴隷だったのではといわれている。
彼の名前を冠した散文形式の動物寓話集があったとされ、
BC(紀元前)5世紀頃にはすでに「寓話といえばイソップ」と決まっていたという
BC300年頃に、アレクサンドリアで伝えられている寓話物語を集成(あつめてまとめた)したものが『イソップ物語』となったとされているが
イソップの存在を歴史的に確認することは難しく
寓話そのもののことを総称して”イソップ”などと呼ばれた可能性すらもある。
14世紀にコンタンティノーブルの学者・プラヌデスが編集したものが底本(したがき)となり
15世紀には英語訳、ドイツ語訳が出版され、やがて日本にも伝わったとされる。
1593年には九州天草で刊行された邦訳(日本語訳)キリシタン版のローマ字綴り版がある。→『イソポのハブラス』
翻訳者は不明での口語文バージョンの『伊曽保物語(いそぽものがたり)』
漢字ひらがな交じりの活字本や絵入り本などがある。
かなり古く日本に入ってきており、もともとはイソップ寓話であっても
いつの間にか日本の昔話のようになったものも多い。(ウサギとカメなど)
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