【本日の名言】「笑われて笑われてつよくなる」 by太宰治 (だざいおさむ)とは 昭和期の小説家の 太宰治による名言。この台詞の出典は『人間失格』のモチーフとなったと言われている前期太宰の『HUMAN LOST』という作品に出てくる文章である。
太宰治 とはどんな人物?そのほかの名言や関連する本などを紹介
目次
【本日の名言】 笑われて笑われてつよくなる の意味・解釈・教訓とは?
この言葉の参考出典は 太宰治 による『HUMAN LOST』という作品より
文庫本だと『二十世紀旗手 (新潮文庫)』で読める。
既成の小説概念を破壊する、大胆で奔放な前衛的試みに溢れた「前期太宰」の作品群。
自ら「排除と反抗」「野望と献身のロマンスの地獄」と呼んだ時期にふさわしい、驚愕の一冊。麻薬中毒と自殺未遂の地獄の日々、小市民のモラルと既成の小説概念のいっさいを否定し破壊せんとした前期作品集。“二十世紀旗手”という選ばれた自負と「生れて、すみません」という廃残意識に引き裂かれた現代人の心情をモザイク的構成のうちに定着させた表題作、後年「人間失格」に集約される精神病院入院の体験を綴った『HUMAN LOST』ほか『虚構の春』『創生期』など7編を収録。
『笑われて笑われてつよくなる』 の言葉の意味とは?
笑われて、笑われて、つよくなる
から得られる教訓としては・・・・
この言葉が出てくる太宰治の『HUMAN LOST』 という作品は、のちの名作、太宰治の代名詞にもなっている『人間失格』のモチーフになったとか土台となった話として知られている。
『HUMAN LOST』は精神病棟に入れられた人間の手記(日記)という体の散文詩的な作品である。
その中で唐突といえば唐突のような感じで出てくるある日の日記のような文章の中の一文がこの
『笑われて、 笑われて、 つよくなる』
太宰治はなかなかセンセーショナルな人生を送った人物である。自殺未遂、薬物中毒を繰り返しながら、愛人と妻との三角関係など、彼は精神病院に入れられるほど、一般的な社会においてはある種の生きづらさを抱えていたと考えるのは想像に難くないだろう。そのようなおよそ一般常識的とは言えない生き方、生き様を罪悪感とともに生きる上で出てきたのがこの言葉なのではなかろうかと私は考える。
まっすぐ生きられない、常に屈折した自己、自意識を抱え、生きにくい、生きづらさを抱えながら、それでも生きていかなくてはいけない。他人に笑われても、また、自分自身で自分を道化だと自分自身にすら嘲笑されて、それでもそうして強くなるのだ
人は強くないと生きてはいけない。
『人間失格』の中の印象的な一文「恥の多い生涯を送ってきました」というのがある。
幼少期から自分ではどうにもならない生きづらさを抱え続け、最終的に自殺という最後を選んでしまったが、人から笑われても笑われてもその恥や罪悪意識そのものを小説という作品の中で道化に昇華させ「笑われる」ということを強みに変えていたのではないのだろうか。
典型的な自己破滅型の私小説作家と呼ばれる太宰治の生き様がこの名言には込められているのかもしれない。
この名言からの教訓としては・・・
笑われても笑われても生きていくためには強くならなければならない。笑われることに慣れる、もしくは笑われることに鈍感になる力を身につけることが強さに繋がるのではないだろうか。
いや〜。この言葉はちょっと奥が深すぎる・・・
太宰治 のその他の名言や関連本おすすめ
君のような秀才にはわかるまいが、
「自分の生きていることが、人に迷惑をかける。僕は余計ものだ」
という意識ほど辛い思いは世の中にない。
(『パンドラの匣』)
人間三六五日、何の心配もない日が、
一日、いや半日あったら、
それはしあわせな人間です
(『ヴィヨンの妻』)
信じられているから走るのだ。
間に合う、間に合わぬは問題ではないのだ。
(『走れメロス』)
愛することは、いのちがけだよ。甘いとは思わない
(『雌に就いて』)
てれくさくて言えないというのは、
つまりは自分を大事にしているからだ
(『新ハムレット』)
『太宰治全集 全10巻セット』
太宰治 名作ベストセレクション『走れメロス』『富嶽百景』『人間失格』『斜陽』『ヴィヨンの妻』『グッド・バイ』太宰の傑作16作品収録!破滅型作家とも言われる太宰の、公私ともに充実していた時期の、明るくほのぼのとした内容の中期作品傑作選と、人間の暗部を描いた後期の作品傑作選。
『愛と苦悩の手紙: 君を思い、思うことあり』
戦中、敗戦という非常時下で、苦悩呻吟し、しかし一筋に書いていくことに励み、友人後輩を励まし酒に誘い、豹変的民主主義に憤り日本虚無派を標榜し…人恋しくも文学への思い一筋に。編集者、師・井伏鱒二、友・今宮一、伊馬春部、後輩・小山清、田中英光、そして妻・美知子へ…惚れたが悪いか、泣いて血を吐く含羞の一〇一通。
太宰治( だざいおさむ) とはどんな人物?何をした人?
太宰治=本名は 津島 修治(つしま しゅうじ)
日本・昭和期の小説家
1948年(昭和23年)東京三鷹にて 没(享年38歳)
太宰治 に関するエピソードや人物像
1930年に東京大学仏文科に入学、中退。
在学中に共産主義運動(左翼活動)での挫折後、自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、第二次世界大戦前から戦後にかけて作品を次々に発表。井伏鱒二に師事する。
1935年『逆行』『道化の華』『ダス・ゲマイネ』を発表して認められる。
主な作品に『走れメロス』『津軽』『お伽草紙』『人間失格』がある。
没落した華族の女性を主人公にした『斜陽』はベストセラーとなる。
無頼派と称されたが、典型的な自己破滅型の私小説作家であった。
38歳で東京・三鷹の玉川上水において入水自殺を遂げたとされる。
愛人との心中であったと発表されたが、のちに、愛人による無理心中の可能性、純然たる心中とはいいがたいとの見解もなされている。