【世界農業遺産】GIAHS(ジアス)とは何の略?世界遺産との違いとは!?【認定全57地域一覧】

【GIAHS】(読み:ジアス、意味:世界農業遺産って聞いたことありますか?いわゆる『世界遺産』とはちょっと異なる、2002年に始まった新たな世界農業遺産(せかいのうぎょういさん)
FAO(国連食糧農業機関)によって世界中にある伝統的な文化や手法など重要な農業システムごと『世界農業遺産(GIAHS)』としてを世界中から地域を認定して保全するという制度だが、ユニセフが認定する世界遺産とは一体何がどう違うのか?
日本を含む世界の現在の全認定サイト(地域)のリストも。





目次

世界農業遺産GIAHSとは?読み方は?どこが認定してるの?

世界農業遺産=GIAHSってなんて読む?ギアスではなく『ジアス』

GIAHSとはグローバリー・インポータント・アグリカルチュラル・ヘリテージ・システムの略

Globally Important Agricultural Heritage Systemsの頭文字を取っている

Globally (世界的に、国際的に、地球規模で)
Important (重要な、大切な、価値のある)
Agricultural(農業の、農業に関する)
Heritage (文化的遺産、伝統、財産)
Systems (〜のためのシステム、制度)

そのまま日本語に訳すと【世界重要農業遺産システム】となり

通称ジアス
(GIAHS)=『世界農業遺産』
と呼ばれている

世界農業遺産GIAHS(ジアス)を認定するのはどこ?

FAO(読み方:ファオもしくはエフエーオー)国連食糧農業機関

Food (食物・食糧・食べ物)
and
Agriculture(農業)
Organization(機構・組織)
of the United Nations(国際連合による)

フード・アンド・アグリカルチャー・オーガニゼーション・オブ・ザ・ユナイテッド・ネーションズ

世界食糧機関FAOのロゴ

FAOとはFood and Agriculture Organization of the United Nationsの略で
国際連合の専門機関のひとつ。

その名の通り、世界各国とそこに住む全ての人々の栄養と生活水準の向上のため
全世界の食糧と農産物の生産や分配に関する改善を目的とする国際機関。

 

この国連食糧農業機関、すなわちFAOによって認定しているのが
世界農業遺産GIAHS(ジアス)




世界的に重要な農業遺産システム(GIAHS)とは

GIAHSは世界中の特定の場所、地域にあり社会や環境に適応しつつ伝統的で貴重な農業、文化、技術、景観、土地利用、生物多様性の保全を目的として認定されるものである。

残念ながら近年はこれらの貴重な伝統的な農業システム
様々な要因(気候変動や天然資源をめぐる競争の激化など)によってその存在すら脅かされている。
結果として貴重な遺産でもある農業システム自体の存続が危ぶまれることによって
地域に根ざす伝統そのものや、固有種、品種などが失われている。

それらの貴重で価値のある農業システムは過去・現在だけではなく未来においても農業技術の革新の基盤ともなりうるものであり、農業の多様性を保全すること、その伝統的システムを維持することが将来のフードセキュリティ(食糧の安全保障)につながる可能性がある。




世界遺産と世界農業遺産とはどう違う?違いはなに?

世界農業遺産と世界遺産の違いとは??

GIAHS(世界農業遺産)の概念としては、ユニセフの認定する従来の世界遺産、遺跡・景観という不動産に対する保護・保全よりもより複雑なものである。

世界遺産ユネスコ=UNESCO国際連合教育科学文化機関、United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization U.N.E.S.C.O.の略)によって認定されるものであり、

世界遺産【文化遺産】【自然遺産】【複合遺産】などのいわゆる有形の不動産が対象である。

世界遺産の対象は 不動産有形財構築物 で
世界遺産の目的は それらの厳正保護である。

世界農業遺産の対象は 無形財産である伝統的農業手法、伝承、それを行う地域
世界農業遺産の目的は、それらの文化そのもの、周辺環境、コミュニティなど文化的環境財の保護も目的である。

世界農業遺産はFAO(国連食糧農業機関)によって登録され、
「農業と地域システム」の保全を目的として世界の農業文化的遺産システムを保全・支援するための制度がGIAHS(世界農業遺産)

農業遺産=未来への遺産

GIAHS(世界農業遺産)として認定していくのは
その地域、文化、農業的景観だけではなく、さらに生物物理的(いわゆる生態系)への影響、社会的環境との関係性までのプロセスをも包括的に保全していくものである。

優れた景観、世界的に重要な農業的生態系の多様性の維持と適応
先住民の人々の知識システム、変化にもうまく適応し富む生態系をもたらし
さらに多角的な商品やサービスの継続的な提供、食と暮らしの安全、そして生活の質を守ってきた

これらの先人の知恵、知識と経験の蓄積は世界的に重要な宝であり価値のあるもの=遺産として保存する必要があるもの
さらには進化させることも可能であるとされる。

現在認定されているGIAHS世界農業遺産はどれくらい?

世界にあるGIAHS(世界農業遺産)として登録されている認定地サイト(地域)
現在21カ国にまたがり全部で57地域である(2019年現在)

世界地図上の【GIAHS農業遺産】認定地の分布

世界農業遺産の世界の分布地図

出典:FAO公式HP(英文サイト)よりhttp://www.fao.org/home/en/(2019年時点のFAOデータ)

地域別のGIAHS(世界農業遺産)認定地の内訳は?

うち日本国内にある『GIAHS世界農業遺産』認定地域(サイト)リスト

日本にあるGIAHS全11サイトの地域や世界農業遺産の概要

石川県能登半島『能登の里山里海』


Noto’s Satoyama and Satoumi
として2011年に登録)
能登の里山里海とは日本海に突き出た石川県の能登半島の4市5町に広がる地域である。
(七尾市、輪島市、珠洲市、羽咋市、宝達志水町、中能登町、穴水町、能登町)
里山とは集落、農地それらを取り巻く二次林である人工林や採草地、竹林、ため池などが複雑にモザイク状にくみあわされ形成されそこに人々が住むことによって豊かな自然が形成、維持されてきた地域のことであり、生活や生産活動の場であると同時に生物の多様性、地域固有の文化・生態系を維持するのに重要な価値がある
里海とは海の恵みを得ながら人々が生活をしながらも自然の生態系を維持し、海の生き物にとっても重要な場所である。
能登半島は土地利用、農林水産業、食文化、工芸文化、祭礼文化に生物多様性など里山〜里海までが一体してその地域に住む人々と密接に関わっている地域である。
(みどころ例:白米千枚田、暴れ祭り、あえのこと、輪島塗、いしり(魚醤)など)

こちらの記事もどうぞ→世界農業遺産GIAHS(ジアス)登録地 『能登の里山里海』観光にオススメの宿10選



世界農業遺産に選ばれた能登の里山と里海。家族コテ-ジ『ノトイエ』は
能登の豊かな自然の中、“のとでのんびり”をコンセプトに、
石川県・能登半島の大自然の中、家族水いらずでのんびり過ごせる温泉付き宿泊施設


新潟県佐渡市 『トキと共生する佐渡の里山』

Sado’s Satoyama in Harmony with Japanese Crested Ibis】として2011年登録

佐渡の里山とトキとの調和ということで、佐渡島に広がる二つの山脈周辺地域の里山では生態系が複雑に調和し、共生し、水田や他の畑で採れる野菜類などの農作物の多様性を抱えている。
さらに、佐渡島のトキだけではなく、佐渡亜固有種である佐渡モールや佐渡ウサギなど絶滅が危惧されている哺乳類も生息している。
江戸時代の金採掘の最盛期当時に開発された段々畑は、日本のトキに餌を与え、豊かな村生活を保証し、農業に関する神社の儀式を通して様々な文化的慣習を生み出しました。 現在、人口の減少と高齢化により伝統文化の継承が危惧されており、生物多様性保全活動の一環として文化の保全が求められている


みどころ:水田の江の設置、冬水田んぼ(ふゆみずたんぼ)、魚道の設置、ビオトープの設置など

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熊本県阿蘇地域 『阿蘇草原の維持と持続的農業』

Managing Aso Grasslands for Sustainable Agriculture

】として2013年に登録)
持続可能な農業のための阿蘇草原の維持管理
熊本県阿蘇地方には活火山と巨大なカルデラが広がる地域である。
阿蘇山は世界最大規模のカルデラの一つである。この火山性の土壌や地理的条件は決しての耕作には適していないが、地域に住む人々は何世代にもわたってこの厳しい条件の環境に適応し農地となる土壌を改良し水田や放牧用草原を作り出してきた。
現在にいたるまで継承された稲作、野菜、温室園芸、牧畜分野など様々な多様性に富んでいる。

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静岡県『静岡県の伝統的茶草場農法(ちゃぐさばのうほう)』

Traditional Tea-grass Integrated System in Shizuoka】として2013年に登録)


静岡の伝統的な茶草統合システム

半自然草原である『茶草場』は茶畑の周りに草地を維持し、茶の栽培品質を向上させる伝統的な農業システムである。農業生産と生物多様性の共存関係が維持された稀な例であり価値のあるものである。日本の半自然草原は20世紀初頭から減少しており、現在では国の面積の1%しか半天然草原として残っていませんが、この地域は高品質のお茶を生産するために半天然草原を保護するものである。 チャグサバには7つの絶滅危惧種を含む300以上の植物が見られます。 これは日本で最も豊かな生物多様性を持つ半自然草地のひとつである。

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大分県『クヌギ林とため池がつなぐ国東半島•宇佐の農林水産循環システム』

【
Kunisaki Peninsula Usa Integrated Forestry, Agriculture and Fisheries System

】として2013年に登録

国東(くにさき)半島宇佐地域は、九州の北東部、瀬戸内海の南端に突き出した半島を中心とした4市1町1村で構成さている。(豊後高田市、杵築市、宇佐市、国東市、姫島村、日出町)
この地域では地形的に制約があったために「ため池」を複数連結させることで用水を供給するシステムがあり、クヌギ林では伝統的に原木しいたけ栽培が行われている。
耕地が限られている中での先人の知恵、知識によって持続的に維持されている農林水産業システム、農耕文化、美しい自然の景観などが現在にまで受け継がれている。
14〜15世紀初頭の農業と景観が保存されている生きた博物館と見なされている。

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岐阜県『清流長良川の鮎(里川における人と鮎のつながり)』

Ayu of the Nagara River System
】 として2015年に登録)

岐阜市、関市、美濃市、郡上市を流れる長良川系の河川、森林及びその周辺の平野
長良川の中流域にはアユを中心とした内陸漁業が盛んである。市街地や住宅地のすぐそばを流れているにも関わらず、地域の人々はこの川を清潔で質の高いまま維持してきた。
長良川は日本を流れる三大河川の一つである。アユは綺麗な水でしか生息できない坂なであり、長良川のアユは昔から地元の特産品として地域の食文化の発展、鵜飼のような伝統的漁法と密接に関わりあってきた。
長良川とアユの景観は地域の人々とは切って話せない関係であり、川の水は飲料水や農業用の灌漑用水の供給源としても重要である。
長良川は里川でもあり、地元民による適切な保全と維持によって生物の多様性も保持されている

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和歌山県『みなべ・田辺の梅栽培システム』

【Minabe-Tanabe Ume System】 として2015年登録)


食糧および薬としても梅は約千三百年前から日本において非常に重要な作物であった。みなべ田辺梅システムは、栄養価の低い泥質土の斜面を利用して持続的に高品質の梅を生産してきた独自のシステムであり、この地域で生産される梅は日本における梅の生産量の半分以上もを担っている。
四百年前に人々は通常の農業には適さない土壌で生計を立てるために梅の栽培を始め、流梅林の近くや急な斜面の尾根沿いにコピス林を維持することによって、人々は流域保全、栄養補給、斜面崩壊防止などの機能を与えてきた。これらのシステムによって、この地域では果樹園として通常使用不可能な土地を使用する、日本でさえ珍しいタイプの土地利用を達成した

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宮崎県 『高千穂郷・椎葉山の山間地農林業複合システム』

【Takachihogo-Shiibayama Mountainous Agriculture and Forestry System
】として2015年に登録

森林資源は世界中で減少しており、これが生物多様性と環境に与える悪影響は世界的な関心事である。 衰退の理由は農地のための森林の再生、非伝統的で環境的に有害な移動(焼畑)耕作慣行、そして過剰な材木収穫を含みます。 一方、このサイトでは、長期的な営農が行われている植林地での木材生産と、毎年収益を生み出す多様な農法を組み合わせた農林業の複合管理システムの確立を通して(シイタケ栽培、棚田米)成長、肉牛飼育、茶栽培など)では、森林と農業生産のバランスが取れています。 このように、家計は伐採や再生によって余剰の森林を使い切ることなく生計を立てているため、森林資源の保全に成功しており、世界にとって貴重なモデルとなっています 。

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宮城県 持続可能な水田農業を支える大崎耕土の伝統的水管理システム』

【

Osaki Kodo’s traditional water management system for sustainable paddy agriculture

】として2017年登録

大崎耕土の水管理システムは環境からの自然な不利益に直面する農民の適応と創意工夫の一例である。農家は大豆、小麦、野菜をはじめとする多様な作物を栽培し、収穫不良時の飢餓を防ぎ、稲作だけでなく多様な生計手段を通じて生計を支えてきました。 この総合的な農業システムは、水田農業の継続を支え、日本人の主食である米を中心とした様々な農産物の持続的な生産と供給を可能にし、日本の経済と文化の基盤となっている、
 中世以降、脈々と受け継がれる巧みな農業を支える水管理基盤システム、生物多様性と共生する水田農業、伝統的な農業文化、豊かな農村が形成する景観(ランドスケープ)、大崎耕土によって育まれる食文化が根付いている。

徳島県 『にし阿波の傾斜地農耕システム』

【

Nishi-Awa Steep Slope Land Agriculture System
】として2018年登録

西阿波地域における急傾斜地農業システムの歴史は、 縄文時代後半(紀元前300年以前)の耕作転換(焼畑農業)にまでさかのぼると言われ、この地域では田植えが困難な傾斜地という環境であることから「ななめで生きる知恵」が生まれたとされ、場所によっては40度もの傾斜があるようなこの傾斜地では、通常は段々畑が形成されるが、ここではあえて斜めのまま、傾斜地のままで農耕を行ってきたために地域独自の技術や知恵が育まれ、自然を守り、生命を守り、集落を守ってきた。このシステムは、未来に向けても持続可能なものと認められ、食と農の危機的状況や生態系の破壊など世界が直面する問題解決にもつながるものと評価された

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静岡県『静岡水わさびの伝統栽培

』

【Traditional Wasabi Cultivation in Shizuoka

】として2018年登録

ワサビ、 Eutrema japonicumは、その茎がすりおろされたときに生成されるシャープな風味で古くから日本で高く評価されているアブラナ科の原産の日本の植物です。 静岡地方は世界的なワサビ栽培の起源であり、静岡市の葵地区では京町時代(1596-1615)に約400年前に始まったと考えられています。
伝統的な栽培方法では、大きな茎の生産、病気による作物の被害、農業でよく見られる繰り返しの栽培による栄養素枯渇の危険性がほとんどありません。 このように、それはワサビ生産に非常に高い適合性を持つ栽培システムです。 さらに、現在急峻な山岳地帯のわさび畑は保水力が高いため自然災害に強い構造であり、下流地域を洪水災害から守る役割も果たしています。

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世界農業遺産に関連するおすすめの本など

『次世代につなぐ美しい農の風景 世界農業遺産』ずっと残していきたい、日本が世界に誇る農の風景をまとめた美しいビジュアルブック。 日本を中心とした世界農業遺産のそれぞれの特徴が美しい写真と解説でよくわかる。英語も併記。

『世界農業遺産』日本は、農業大国ではない! しかし、農業文化国だった!TPPの議論が本格化するなか、今こそ日本の農業のありようが問われている。 日本各地で起こりつつある「変化」を、あなたは認識しているだろうか。SATOYAMA”を世界に広めた研究者による将来ビジョンの提言

『世界なんでもランキング図鑑』世界についての様々な事柄をランキングにして写真やイラスト、図などでビジュアルにわかりやすく解説。ちょっと自慢したくなるような雑学が満載の一冊。

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アジア太平洋地域にあるGIAHSサイト(日本以外)

サイト(地域)の名前場所など 登録年
China 中国(中華人民共和国) Rice Fish culture
浙江省秦天県。 貴州省のコンジャン郡の水田養魚文化
ハン族およびモン族、他少数民族
アジアでは稲作のための水田での魚の養殖は長い歴史があり、二千年前の漢王朝の時代にすでに中国の壁画には池から水田んぼへ泳ぐ魚の表現がある。
魚を水田で養殖することで稲に肥料を提供し、微気候条件を調整し、魚が動くことで水を動かし土壌を柔らかし、魚は害虫の幼虫や雑草を食べる。稲は魚のために日よけを作り食べ物を提供する。
このエコシステムによる魚や米の高品質な食品はコミュニティにおける農民たちの生活水準を維持するために有益である。
化学肥料や農薬や除草剤使用を減らすことでコストと労力は削減でき、生産効率を向上する。
2005
中国(中華人民共和国) Wannian Traditional Rice Culture
江西省Wannian County(ワニアン)の万年伝統稲作文化
ワニアン民族による伝統的な稲作は南北朝時代(紀元前420~589)からあり、伝統的なワニアンの米は冷泉水、特別な土壌条件、その地域特有の気候による組み合わせによってここでしか生産することができない。
伝統のある稲作のための冷泉水の灌漑は米だけではなく周囲の森林、水の保全に重要な役割を果たしいてる。
森林と水田の保全は生物の多様性にも貢献し、そのことが農薬や化学肥料を使う必要をなくした。
2010
中国(中華人民共和国) Hani Rice Terraces (ハニ ライステラス(ハニ族の棚田)
雲南省Yuanyang郡、Honghe郡、Lvchun郡およびJinping郡
ハニ族による棚田 70000ヘクタール
ハニ族を中心とする様々な少数民族たちがこの壮観な棚田を伝統的に築きあげた
壮大なこのハニ族のテラス(棚田)システムは驚くべきことに貯水池がない。
森林、村、テラス、川によって棚田の生態学的景観を構成している。
ハニ棚田の独自の効率的なかつ経済的なシステムは、シンプルであるがゆえに持続可能なものである。
2010
中国(中華人民共和国) Dong’s Rice Fish Duck System
貴州省トン族による稲作と養魚・養鴨システム
貴州省Conjjiang and Liping Countyの少数民族コミュニティにおける
ライス(米)ーフィッシュ(魚)ーダック(アヒル・鴨)システムは地域における民族的な特徴を色濃くもつものである。
限られた自然条件のもとで培われたその土地の人々が独自で開発した水田で米と魚とカモを同時に育てるというシステムははユニークであり、優れた生態系にとって非常に有益である。
民族による習慣や伝統的農法の組み合わせは人間と自然との矛盾を解消する優れた経済システムでもある。
2011
中国(中華人民共和国) Pu’er Traditional Tea Agrosystem
雲南省プーアル伝統の茶農業システム
雲南省187000ヘクタールに及ぶプーアル伝統茶のアグロシステムは何千年も前から先祖代々に受け継がれてきた世界最大の茶畑プランテーション地域である。
雲南省は茶の木の世界における起源とがんがえられており、古代の茶のルートの出発点であるされている
プーアルの茶農法システムは生物の多様性と文化的な多様性も富んでおり、古代の原種に近い茶の木(ティーツリー)のプランテーションを含み構成されている。
2012
中国(中華人民共和国) Aohan Dryland Farming System
内モンゴル自治区赤蜂市アオハンの乾燥地農業システム
中国北部アオハンにおけるドライランド(乾燥地)農業システムは中国に古代農業と草地管理のインターフェースとして知られておりm農業、林業、畜産を組み合わせて農業構造を形成する重要な作物生産地域である。
2012
中国(中華人民共和国) Kuajishan Ancient Chinese Torreya
浙江省紹興市会稽山
かいけいざんの古代中国トレヤKuaijishan Community(クワジシャンコミュニティ)は二千年以上の歴史を持ち、古代中国での古代接木(つぎき)と人工的な技術の応用を開発し、古代中国のトレヤを生きた化石とした。
トレヤの木々は千年以上前のものであり、壮観な景色、伝統ある村、豊かな小川、そして山々とが融合している、
土壌の侵食を防ぎながら、ナッツや、油、薬、木工装飾品など価値ある経済製品を提供する調和のとれたシステムである
2013
中国(中華人民共和国) Urban Agriculture Heritage – Xuanhua Grape Garden
都市農業遺産ー中国河北省張家口市玄化区グレープガーデン(伝統的ぶどう栽培)
伝統的なブドウ園システムは千三百年以上の歴史があり、中毒の漏斗型に設計された庭園農業の典型的な例である。これらは土壌と水を保護し。ブドウの木を霜や強風から守る役割を果たす。
このグレープガーデンで採れるブドウは実は大きく、皮は薄く、適度な甘さを持つ、優れた特徴の「果物の宝」とも呼ばれている。
この地域におけるグレープガーデンは干ばつと収量の問題の克服を可能にしたシステムである
現在貴重なこの伝統的ブドウ園は都会化にさらされており、年々減少傾向にある
2013
中国(中華人民共和国) Jiaxian Traditional Chinese Date Gardens
河南省郟県の伝統的デーツ(ナツメ)庭園
ナツメは中国原産のユニークな果実種である。
黄河中流の地域ではナツメ栽培の最古の歴史があるところとされており、野生のナツメから栽培のナツメまで大きなナツメコミュニティを誇っている。この地域の人々にとってはナツメの木は『命を救う植物』としており栽培のプロセスにおける駅システムだけではなく、ナツメ生産は地域の経済の根源であり、文化的にも意義があるものである。
2014
中国(中華人民共和国) Xinghua Duotian Agrosystem
江蘇省興化市の伝統的な興化垜田農業システム
Xinghua Duotianにおけるアグロシステムは低地での独自な方法での水・土地管理及び、素晴らしい景観を産んだ
彼らは独特の水 – 土地利用方法を開発し、湿地帯の汚泥を掘り下げて積み重ねることによって水域と野生の土地を耕作可能な土地にし、地元の農民が作物や野菜などを植えることができるようにした
2014
中国(中華人民共和国) Fuzhou Jasmine and Tea Culture System

福建省福州市のジャスミンと茶文化システム

ジャスミンはペルシャ湾が起源であり西漢時代に中国に持ち込まれて以来二千年以上にわたって中国で栽培されてきた。福州市はその気候条件がジャスミンの種にとって好ましくジャスミンの栽培が有名であり、お茶に香りをつける方法が最初に発明されたのは千年前のこの街である。
香り茶であるジャスミン茶の長い歴史は街に文化的意義を与えている。

 

2014
中国(中華人民共和国) Diebu Zhagana Agriculture-Forestry-Animal Husbandry Composite System
甘粛省テウォ県農林畜産システム
Diebu Zhaganaにおける農業ー林業ー畜産の複合システムはチベット高原チベット高原、黄土高原および成都盆地の3つの主要な地形に位置し、さらに3つの気候帯の収束帯に位置している。
地元住民、独特の地理的および生態学的位置、ならびに高山および不毛の自然条件が共進化し、絶えず進化しており、これは、比較的コンパクトで自給自足の独特な農業生産を形成している
2017
中国(中華人民共和国) Zhejiang Huzhou Mulberry-dyke & Fish-pond System
浙江省湖州の桑堤防による養殖池システム
浙江湖州桑堤防(マルベリーダイク)と養魚池(フィッシュポンド)システムは2500年以上前に生まれ、多くの伝統的なそして農業生態学的な知識が含まれている。
それは桑堤防の木の栽培、絹の飼育、魚の栽培を含み、非常に複雑な灌漑と排水システムに基づいています。 このシステムにより、多くの農家が自分たちのニーズに応え、巨大な生物多様性と複雑な景観を守ることができる。
この共生システムは包括的で多次元のエコ農業システムである。
2017
中国(中華人民共和国) Traditional Mulberry System in Xiajin’s Ancient Yellow River Course
山東省夏津の伝統的な桑(クワ)栽培システム
Xiajinにおける古代黄河のコースにおける伝統的な桑栽培のシステムは、王朝によって黄河の流れが変更された時に桑の木によって砂嵐を防ぐために植えられた
遺産システムは400ヘクタール以上の面積をカバーしています。
100年以上前の2万本以上の桑の木が、この遺産に住んでいます。 これらの開発の証人である遺産遺跡は、社会経済的および環境的変化に直面してもその回復力を示している。
2018
中国(中華人民共和国) Rice Terraces in Southern Mountainous and Hilly Areas, China
中国南部山岳の丘陵地域の棚田
中国には、広い範囲の流通と多数の量で有名なテラスを建設した非常に長い歴史があり、 中国は山岳地帯で、山岳地帯は全領土の約3分の2を占めている。 したがって、生計を立てるために、山岳地帯に住んでいた古代の人々は地域の状況に応じて段々畑のパターンを作り出した。
何百年もの間、山に沿って建てられたテラスは地元の農業条件を改善しただけでなく、穀物の生産量も増加させ、 さらに、それらは山岳地帯の生態学に有益であり、中国の農業の持続可能な開発に大きく貢献していす。
2018
Republic of Korea 韓国(大韓民国) Traditional Gudeuljang Irrigated Rice Terraces in Cheongsandoチョンサンドの伝統的なグドゥルジャン灌漑棚田
土壌と水の管理を組み合わせたこの島独自の灌漑システムは、地下灌漑と排水の水路として石を積み重ねて構築されたものである。
様々なサイズの岩を積み重ね、水田を作ることによって土地利用効率を最大化することができ厳しい気候環境にも適応することができる
2014
韓国(大韓民国) Jeju Batdam Agricultural System済州島のバタム農業システム
このシステムは風の強い火山島である済州島(チェジュ島)で生き残るための創意工夫のの結果生み出されたシステムである。石を利用し風を防ぎ、土壌の状態や環境の状態に応じて様々な構造で建てられ、地域での生活文化にも強く影響をしている。
島全体に広がるバダムが描き出すモザイク模様がチェジュ島の洗練された景観を生み出している。
2014
韓国(大韓民国) Traditional Hadong Tea Agrosystem in Hwagae-myeon花開面(ファゲミョン)の伝統的ハドン茶農業システム
ハドン伝統茶農法は山岳地帯の厳しい自然環境へ適応するために1200年もの年月をかけて住民たちが築き上げた農業システム、そして文化である。
先祖代々受け継がれたその地域特有の伝統農法の技術は、日常生活に深く溶け込み、さらに茶畑が周囲の森林と調和し独特の景観を形成しており、自然の野生の美しさと茶栽培が見事に共生している。
2017
韓国(大韓民国) Geumsan Traditional Ginseng Agricultural System錦山郡(クムサン郡)の伝統的朝鮮人参農業システム
錦山の伝統的な高麗人参の農業システムは非常に重要な農業遺産である。 それは韓国の文化、長い歴史そして伝統をもあらわすものである。 また、朝鮮人参は、単なる韓国の特産品であることを超えて、国の精神的遺産の一つとして受け継がれてきた高貴な作物と見なされている。
朝鮮人参の耕作地は、周囲の森林、農地、村、川など、土地のすべての要素を組み込んだ単一の農業システムを形成し、さらに地元の生活や文化と違いに密接につながっている。
2018
India インド Saffron Heritage of Kashmir
カシミールのサフラン遺産
インド北部カシミール地方Pampore Karewas、3200ヘクタール 17000の農家によるサフラン栽培
サフランの栽培はの紀元前5世紀のカシミールの記録にある。
サフランはそれだけで現金作物として農業経済を支える一つである。
サフランは地域の文化遺産の一部であり、有名なカシミール料理、その薬の価値、そしてカシミールの豊かな文化遺産に関連する。
2011
インド Koraput Traditional Agriculture
オリッサ州コラプトの伝統的農業
インドオリッサ州コラプト地域の52の部族グループによる伝統的な地域制度による農業
この地域はインド国内だけではなく、世界でも最も貧しい地域の一つである。
しかしこの地域社会と伝統的農業システムによって生産される食物は2500種もの生物多様性に富んでおり宗教的意義とも文化的、社会的に結びつくメカニズムである。
2012
インド Kuttanad Below Sea Level Farming System
クッタナドの海抜以下における農業システム
インド、ケララ州クタナード地方における農業システムは
デルタ湿地を排水することによって生み出される陸地での海面下(海抜0メートル以下)での稲作を可能にする唯一のシステムである。農業における土壌利用の可能性と洪水問題という気候変動への対処も目的の一つである。
クッタナドにおける農地のシステムは3つに分割された構造となっており、農業による景観は複雑なモザイク模様を描き出し観光地としても人気がある。
2013
Bangladesh バングラディシュ Floating Garden Agricultural Practices
フローティングガーデン
浮き草を束ねた上での水耕栽培による浮遊農業システム(水上ガーデン農法)
サイトの場所:バングラディシュ中央南部Gopalganj、Pirojpur、Barisal
2500ヘクタール、亜熱帯湿潤気候の水と氾濫原の土地
バングラティシュの一部地域では氾濫原があり大部分が洪水によって長期間水が残っており、水没地となる。そこで農民はその水没地となるエリアを作物生産に活用する方法を開発した。この地における、浮遊農業システムは経済、環境、社会的な各方面に有効であり3世紀以上にわたって続いている。
このシステムは気候条件への対応だけではなく、気候変動への適応も果たしている一例である。
オクラ、ひょうたん、インド産ほうれん草、ナス、キュウリ、赤アマランサス、茎アマランサス、ワックスひょうたんなどの野菜が浮遊床で栽培され、夏には水上にヒヤシンスの花など、カラフルでコントラストに富んだ浮遊庭園は独特な美しい景観を生み出している。
水管理と土地管理において浮遊ガーデンシステムは洪水地域においてもっとも発達したシステムの一つであると言える
2015
Philippines フィリピン Ifugao Rice Terraces

イフガオの棚田

2011
Sri Lanka スリランカ The Cascaded Tank-Village System in the Dry Zone of Sri Lanka
乾燥地帯における滝状タンクビレッジシステム
2017

アフリカ地域にあるGIAHSサイト

Countries

国名

サイトの名前・システム名

登録年

Kenya ケニア オルドンヨノキエとオルケリのマサイ族による改良固有種牛の放牧農業

Oldonyonokie/Olkeri Maasai Pastoralist Heritage

2011

Tanzania タンザニア Engaresero Maasai Pastoralist Heritage Area
エンガレセロのマサイ族の放牧

2011

Tanzania タンザニア Shimbue Juu Kihamba Agroforestry Heritage Site
シンヴエ・ジュ•キアンバの混合農林業
キリマンジャロ南麓の果樹建材林、バナナ、コーヒーの木、菜園の4層勇気循環混合農林業

2011

ヨーロッパ中央アジア地域GIAHSサイト

Countries

国名

サイトの名前・システム名

登録年

Spain スペイン Malaga Raisin Production System in Axarquia
アクサルキア・マラガのレーズン生産システム
2017
Spain スペイン Salt production system of Añana

サラド渓谷アニャーナの農業システム

2017
Spain スペイン The Agricultural System Ancient Olive Trees Territorio Sénia
セニア地域のオリーブ古木による農業システム
2018
Italy イタリア Olive groves of the slopes between Assisi and Spoleto
アッシジとスポレト間の丘陵地オリーブ園
2018
Italy イタリア Soave Traditional Vineyards
ソアーベの伝統的ワインブドウ園
2018
Portugal ポルトガル Barroso Agro-Sylvo-Pastral System

バローソの農業林間放牧システム

2018

 

南米カリブ海地域のGIAHSサイト

Countries

国名

サイトの名前・システム名

登録年

Mexico メキシコ Chinampas Agricultural System in Mexico City
メキシコシティのチナンパ農業システム
2017
Peru ペルー Andean Agriculture
クスコ、プーノ県のアンデス農業(五千年以上にわたり持続する先住民族の農業知識、農具や多様性二富む農業)
2011
Chile チリ Chiloé Agriculture

チロエ農業

じゃがいもと種実類(果実や種子)200種以上の栽培。

2011

中近東・北アフリカ地域のGIAHS サイト

Countries

国名

サイトの名前・システム名

登録年

Algeria アルジェリア Ghout System (Oases of the Maghreb)
マグリブ砂漠のオアシスのゴートシステム
ナツメヤシ100種以上の灌漑農業
2011
Egypt エジプト Dates production System in Siwa Oasis
シワオアシスの古代エジプト時代からの乾燥地農業によるデーツ(ナツメ)生産システム
2016
Islamic Republic of Iran イラン Qanat Irrigated Agricultural Heritage Systems, Kashan
かーシャーンのかなーとによる灌漑農業システム
2014
イラン Grape Production System in Jowzan Valley
ジョーザン渓谷のぶどう生産システム
2018
イラン Qanat-based Saffron Farming System in Gonabad
ゴナーバードのカナートをベースとするサフラン農業システム
2018
Kingdom of Morocco モロッコ アトラス山脈のオアシスシステム

Oases System in Atlas Mountains (Oases of the Maghreb)

2011
モロッコ Argan-based agro-sylvo-pastoral system within the area of Ait Souab-Ait and Mansour 2018
Tunisia チュニジア Gafsa Oases (Oases of the Maghreb)
ガフサオアシス(マグレブのオアシス)
2011
UAE アラブ首長国連邦 Al Ain and Liwa Historical Date Palm Oases
アル・アインとリワの歴史的デーツパームのオアシス(ナツメヤシオアシス)
2015

 




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