【七十二候（読み方：しちじゅうにこう）】とは一体何？どんなもの？なりたちは？
中国で生まれた二十四節気をさらに細分化（3等分）し、中国故事や季節ごとの自然現象にちなんで名前をつけられたという七十二候とは？中国とは気候が異なる日本では日本独自の七十二候ができたのは江戸時代？日本の七十二候全てを知りたい！
目次
季節をあらわす七十二候（しちじゅうにこう）とは？
七十二候とは太陽黄経（地球から見た太陽が地球の周りを１年かけて回る軌道）をもとに
（実際には太陽の周りを回っているのは地球の方）
１年を72に分けた５〜６日間を『一候（一つの候）』とし、その時候の変化をあらわしたもの。
太陽の黄経の角度によって一年を24の節気に分類した二十四節気は
１年（１太陽年）を24の節気すなわち、15日間づつに、それぞれの気候の変化に応じて季節に名前をつけたもの
まずはこちらの↓二十四節気の成り立ちを理解しておくとわかりやすいかも！
←【二十四節気（にじゅうしせっき）】とはいったいなに？成り立ちは？簡単な覚え方はあるの？
二十四節気とは（一覧）
| 春 | 立春（りっしゅん）雨水（うすい）啓蟄（けいちつ） |
| 春分（しゅんぶん）清明（せいめい）穀雨（こくう） | |
| 夏 | 立夏（りっか）小満（しょうまん）芒種（ぼうしゅ） |
| 夏至（げし）小暑（しょうしょ）大暑（たいしょ） | |
| 秋 | 立秋（りっしゅう）処暑（しょしょ）白露（はくろ） |
| 秋分（しゅうぶん）寒露（かんろ）霜降（そうこう） | |
| 冬 | 立冬（りっとう）小雪（しょうせつ）大雪（たいせつ） |
| 冬至（とうじ）小寒（しょうかん）大寒（だいかん） |
二十四節気をさらに３等分して七十二候
七十二候は二十四節気の間（例えば《立春》と《雨水》の間）をさらに3等分して
５日ごとの季節の目安に名前をつけたものが七十二候となる。
古代中国では気候の変化によって、
自然現象、動物や植物の動きや故事などになぞらえて72の時節を表す名前とした。
中国で発症した『七十二候』も日本に伝えられ、当初はそのまま日本の暦として採用されたが
日本と、中国では気候が異なる（時季がずれる）ため、中国語のもともとの七十二候とはそぐわない場合もあり
さらに、日本にいる動物や植物にも中国とは違いがあるということで
日本の実情にそくして修正されて作られたのが江戸時代に作られた日本独自の『本朝七十二候』である
明治以降〜現代では『略本歴』に掲載された七十二候が俳句の季語などにも使われている。
日本の【七十二候】の全ての読み方と意味
春の七十二候（二十四節気ごとに表記）
立春
初候 《東風解凍》（読み：こちこおりをとく） 意味： 東風（春に東から吹く風）が厚い氷を解かし始める（2月４日頃）
次候 《黄鶯睍睆》（読み：うぐいすなく） 意味：鶯（うぐいす）が山里で鳴き始める（２月９日頃）
末候 《魚上氷》（読み：うおこおりをいずる） 意味： 割れた氷の間から魚が飛び出る（２月14日頃）
雨水
初候 《土脉潤起》（読み：つちのしょううるおいおこる）意味： 雨が降って土が湿り気を含む（２月19日頃）
次候 《霞始靆》（読み：かすみはじめてたなびく） 意味：霞（かすみ）がたなびき始める（漂いはじめる）（２月２３日頃）
末候 《草木萌動》（読み：そうもくめばえいずる）意味 ：草木が芽吹き始める（２月28日頃）
啓蟄
初候 《蟄虫啓戸》（読み：すごもりむしとをひらく） 意味：冬籠りの虫が出て来る（３月５日頃）
次候 《桃始笑》（読み：ももはじめてさく） 意味：桃の花が咲き始める（３月10日頃）
末候 《菜虫化蝶》（読み：なむしちょうとなる） 意味：青虫が羽化して紋白蝶(モンシロチョウ）になる（３月15日頃）
春分
初候 《雀始巣》（読み：すずめはじめてすくう）意味： 雀が巣づくりを始める（３月20日頃）
次候 《桜始開》（読み：さくらはじめてひらく） 意味：桜の花が咲き始める（３月25日頃）
末候 《雷乃発声》（読み：かみなりすなわちこえをはっす）意味： 遠くで雷の音が聞こえ始める（３月30日頃）
清明
初候 《玄鳥至》（読み：つばめきたる） 意味： 燕（つばめ）が南からやって来る（４月５日頃）
次候 《鴻雁北》（読み：こうがんきたへかえる）意味： 雁（がん）が北へ渡って行く（４月10日頃）
末候 《虹始見》（読み：にじはじめてあらわる） 意味：雨の後に虹が出始める（４月15日頃）
穀雨
初候 《葭始生》（読み：あしはじめてしょうず） 意味：葦（あし、イネ科の多年草・ヨシ）が芽を吹き始める（４月20日頃）
次候 《霜止出苗》（読み：しもやんでなえいづる） 意味：霜が終り稲の苗が生長する（４月25日頃）
末候 《牡丹華》（読み：ぼたんはなさく） 意味：牡丹の花が咲く（４月30日頃）
夏の七十二候（二十四節気ごとに表記）
立夏
初候 《蛙始鳴》（読み：かわずはじめてなく） 意味：蛙（カエル）が鳴き始める（５月５日頃）
次候 《蚯蚓出》（読み：みみずいづる） 意味：蚯蚓（ミミズ）が地上に這出る（5月10日頃）
末候 《竹笋生》（読み：たけのこしょうず） 意味：筍（タケノコ）が生えて来る（５月15日頃）
小満
初候 《蚕起食桑》（読み：かいこおきてくわをはむ） 意味：蚕（カイコ）が桑（クワ）を盛んに食べ始める（５月20日頃）
次候 《紅花栄》（読み：べにばなさかう） 意味：紅花（ベニバナ）が盛んに咲く（５月25日頃）
末候 《麦秋至》（読み：むぎのときいたる） 意味：麦が熟し麦秋（麦の収穫どき）となる（５月30日頃）
芒種
初候 《螳螂生》（読み：かまきりしょうず）意味： 螳螂（カマキリ）が生まれ出る（６月５日頃）
次候 《腐草為蛍》（読み：くされたるくさほたるとなる）意味： 腐った草が蒸れ蛍（ホタル）になる（６月10日頃）
末候 《梅子黄》（読み：うめのみきばむ）意味： 梅の実が黄ばんで熟す（６月15日頃）
夏至
初候 《乃東枯》（読み：なつかれくさかるる） 意味：夏枯草（かごそう、ウツボグサ）が枯れる（６月21日頃）
次候 《菖蒲華》（読み：あやめはなさく） 意味：菖蒲（あやめ）の花が咲く（６月26日頃）
末候 《半夏生》（読み：はんげしょうず） 意味：烏柄杓（カラスビシャク）が生える（７月１日頃）
小暑
初候 《温風至》（読み:あつかぜいたる） 意味：暖い風が吹いて来る（７月7日頃）
次候 《蓮始開》（読み：はすはじめてひらく） 意味：蓮（ハス）の花が開き始める（７月12日頃）
末候 《鷹乃学習》（読み：たかすなわちわざをなす） 意味：鷹の幼鳥（タカのヒナ）が飛ぶことを覚える（７月17日頃）
大暑
初候 《桐始結花》（読み：きりはじめてはなをむすぶ） 意味：桐（キリ）の実がなり始める（７月23日頃）
次候 《土潤溽暑》（読み：つちうるおうてむしあつし）意味： 土が湿って蒸し暑くなる（７月28日頃）
末候 《大雨時行》（読み：たいうときどきにふる） 意味：時として大雨が降る（８月２日頃）
秋の七十二候（二十四節気ごとに表記）
立秋
初候 《涼風至》（読み：すづかぜいたる） 意味：涼しい風が立ち始める（８月７日頃）
次候 《寒蝉鳴》（読み：ひぐらしなく） 意味：蜩（ヒグラシ）が鳴き始める（８月23日頃）
末候 《蒙霧升降》（読み：ふかききりまとう） 意味：深い霧が立ち込める（８月27日頃）
処暑
初候 《綿柎開》（読み：わたのはなしべひらく） 意味：綿を包む花の萼（がく）が開く（８月23日頃）
次候 《天地始粛》（読み：てんちはじめてさむし） 意味：ようやく暑さがしずまる（８月28日頃）
末候 《禾乃登》（読み：こくものすなわちみのる） 意味：稲が実る（９月2日頃）
白露
初候 《草露白》（読み：くさのつゆしろし） 意味：草に降りた露が白く光る（９月７日頃）
次候 《鶺鴒鳴》（読み：せきれいなく） 意味：鶺鴒（セキレイ科の小鳥）が鳴き始める（９月12日頃）
末候 《玄鳥去》（読み：つばめさる） 意味：燕（ツバメ）が南へ帰って行く（９月17日頃）
秋分
初候 《雷乃収声》（読み：かみなりすなわちこえをおさむ）意味： 雷が鳴り響かなくなる（9月23日頃）
次候 《蟄虫坏戸》（読み：むしかくれてとをふさぐ） 意味：虫が土中に掘った穴をふさぐ（9月28日頃）
末候 《水始涸》（読み：みずはじめてかる） 意味：田畑の水を干し始める（乾かし始める）（10月3日頃）
寒露
初候 《鴻雁来》（読み：こうがんきたる）意味： 雁（ガン）が飛来し始める（10月8日頃）
次候 《菊花開》（読み：きくのはなひらく） 意味：菊の花が咲く（10月13日頃）
末候 《蟋蟀在戸》（読み：きりぎりすとにあり） 意味：蟋蟀（キリギリス、コオロギの古称）が戸の辺りで鳴く（10月18日頃）
霜降
初候 《霜始降》（読み：しもはじめてふる）意味： 霜（しも）が降り始める（10月23日頃）
次候 《霎時施》（読み：こさめときどきふる） 意味：小雨がしとしと降る（10月28日頃）
末候 《楓蔦黄》（読み：もみじつたきばむ） 意味：もみじや蔦（ツタ）が黄葉する（葉が黄色に変わる）（11月2日頃）
冬の七十二候（二十四節気ごとに表記）
立冬
初候 《山茶始開》（読み：つばきはじめてひらく） 意味：山茶花（さざんか、ツバキ科の常緑樹）が咲き始める（11月7日頃）
次候 《地始凍》（読み：ちはじめてこおる） 意味：大地が凍り始める（11月12日頃）
末候 《金盞香》（読み：きんせんかさく） 意味：水仙（スイセン）の花が咲く（11月17日頃）
小雪
初候 《虹蔵不見》（読み：にじかくれてみえず） 意味：虹を見かけなくなる(11月22日頃）
次候 《朔風払葉》（読み：きたかぜこのはをはらう） 意味：北風が木の葉を払いのける（11月27日頃）
末候 《橘始黄》（読み：たちばなはじめてきばむ） 意味：橘（タチバナ）の実が黄色くなり始める（12月2日頃）
大雪
初候 《閉塞成冬》（読み：そらさむくふゆとなる）意味：天地の気が塞がって冬となる（12月7日頃）
次候 《熊蟄穴》（読み：くまあなにこもる） 意味：熊が冬眠のために穴に隠れる（12月12日頃）
末候 《鱖魚群》（読み：さけのうおむらがる） 意味：鮭が群がり川を上る（12月17日頃）
冬至
初候 《乃東生》（読み：なつかれくさしょうず） 意味：夏枯草（かごそう、ウツボグサ）が芽を出す（12月22日頃）
次候 《麋角解》（読み：おおしかのつのおつる） 意味：大鹿が角を落とす（12月27日頃）
末候 《雪下出麦》（読み：ゆきわたりてむぎいづる） 意味：雪の下で麦が芽を出す（1月1日頃）
小寒
初候 《芹乃栄》（読み：せりすなわちさかう） 意味：芹（せり）がよく生育する（1月5日頃）
次候 《水泉動》（読み：しみずあたたかをふくむ） 意味：地中で凍った泉が動き始める（1月10日頃）
末候 《雉始雊》（読み：きじはじめてなく） 意味：雄の雉（キジ）が鳴き始める（1月15日頃）
大寒
初候 《款冬華》（読み：ふきのはなさく） 意味：蕗の薹（ふきのとう）が蕾（つぼみ）を出す（1月20日頃）
次候 《水沢腹堅》（読み：さわみずこおりつめる）意味： 沢に氷が厚く張りつめる（1月25日頃）
末候 《鶏始乳》（読み：にわとりはじめてとやにつく） 意味：鶏が卵を産み始める(1月30日頃）
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