LGBT映画特集!『追憶と、踊りながら』のあらすじと感想ネタバレ勝手に映画評

どうも、暇人映画ウォッチャーです。最近、HuluでLGBT映画の特集で、(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)を題材として世界各国の映画の特集が組まれていたので、おすすめのLGBT映画のその紹介(ネタバレ含む)と感想とレビューを。今回は『追憶と、踊りながら』のあらすじと感想など。ロンドンを舞台に、あくまで静かに流れるストーリーは、愛する息子を失った英語を話せない母親と、その息子=愛する恋人を失ったゲイ男性の2人が、亡くなってしまった彼との記憶。真実の告白、介護問題、異文化、言葉の壁を超えて感情を通わせることはできるのか?泣ける美しい物語。




LGBT映画を観る前に!今さら聞けない!LGBTってなに?

別記事→【LGBT映画を観る前に】今さら聞けない”LGBT”ってなに??

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『追憶と、踊りながら』どんなストーリー?みどころは?

映画『追憶と、踊りながら』を3行で説明してみる

母親にカミングアウトを決意した矢先に、事故死
残された恋人(ゲイ)が死んだ恋人の母の面倒を見たいが
言葉も文化も違う上に、真実も言えないがさあどうする?

あれ、3行にしたら、
なんかバラエティ感出てしまった・・・
失敗・・・本作は感動作です!

息子を失った悲しみ
恋人を失った悲しみ
真実を言えない、真実を知らないがゆえに
すれ違う、愛する人を失った2人の美しい静かな交流の物語です

なのでドタバタコメディ映画ではありません。
ちょっと正直、
物足りなさを感じるくらい、
静かでありながら
ずっしりと心に響く
あなたがゲイであろうとなかろうと
あなたの周りにも起こりうる普遍的な問題を描いているし
あなたにも親がいるなら、
そしてあなたが子を持つ親なら
人を愛したことがあるなら・・・
泣ける映画です。
ただ、大泣きするというよりは
涙が自然にツーっとこぼれてしまう系の
なんか、感情を静かに揺さぶられる感じの映画です

もっと、ざっくばらんに『追憶と、踊りながら』のあらすじ

イギリス・ロンドンを舞台に、
美しい息子カイ(ゲイ)と、
老人介護施設にいる孤独な母親

母を愛するがゆえに、伝えられない真実

”ゲイだということ、男性の恋人(パートナー)がいること”

カイは急死
残されたカイの恋人・リチャードが、
孤独なカイの母親・ジュンを心配し

恋人であった事実(ゲイ)を隠したまま
カイの親友として、カイの母の面倒を見ようとする

しかし、イギリスに移住してはいるものの、
母・ジュンはカンボジア系中国人で”英語を話すことができない”
カイの恋人・リチャードは英国人で中国語は話せない

言葉の通じない(共通言語がない)リチャードとジュン

同じくカイを愛していたはずの二人ゆえに生まれる亀裂・・・

やがて、二人は共通して持つ愛の記憶に辿り着く



『追憶と、踊りながら』の概要 原題は?

『追憶と、踊りながら』は2014年にイギリスで制作の映画

原題は『LILTING』
”Lilting” 自体の言葉の意味としては
陽気で調子よく快活(リズミカルに)な、とか軽快な
といった意味だが、
「踊る」「優しくリズムをとる」というような
使い方もされる形容詞がLilting

英語版のWikipediaの作品ページによると
脚本のオリジナルタイトル

『The Lilting the Past』だったそうで

そう考えると邦題の『追憶と、踊りながら』は
ああ、なるほど、そうゆうことかと納得。

映画の持つ雰囲気BGM

『夜来香』(イェライシャン)by李香蘭(山口淑子)

この曲を知っている方なら
雰囲気がなんとなく想像できるかと思います。

現在と過去とを行き来してストーリーが進行する
この映画では出演者が二人づつ手をとりあい踊るシーンが
クライマックスになる

『追憶と、踊りながら』の俳優陣は?

主役は2人

愛する恋人に先立たれたゲイの英国人男性
リチャードを演じるのは

ベン・ウィショー(Ben Whishaw)

この映画の最初の登場シーンで
画面に彼が現れた際の印象が
少し、情けない感じの、心もとない感じで・・・

わたしは、
「あれ?ちょっとおへちゃじゃないの?
  大丈夫!?この子!?」

って思ったけど
見ているうちに、
どんどんぐいぐい惹きつけられていくあたし・・・・
恋人カイとベッドでいちゃつくシーンなんて
めっちゃくちゃキュートやないの!!!あんた!!
カイ役の俳優も超絶美形で美しいんだけど、
ベン演じるリチャードがもう、超かわいいのでそこも見どころ!

ほんで、
「彼、どっかで見たことあんだよな〜・・・
  なにに出てたんだっけ〜???」
って思ったら、あれだ!!
あの、一度観たら忘れられない
私の中で、その年(2006年)一番面白い怪作だった
『パフューム〜ある人殺しの物語〜』の主役やないか!!!

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(ちなみに、『パフューム〜ある人殺しの物語〜』もすっごい面白いし、
 なかなかの衝撃作だけど、匂いフェチなら絶対に共感できるから!
 『パフューム』も観て欲しい、おすすめの映画です。)

もう1人の主役である、
愛する息子を失くした親・ジュンを演じるのは
上海出身で香港のみならず世界中における
中国語圏で伝説級の女優である

チェン・ペイペイ(Pei-Pei Cheng)

愛する男性の恋人と、
愛する母親の間で揺れる美しい青年・カイを演じたのは

アンドリュー・レオン(Andrew Leung)

本作が映画デビューの新人
とにかく美青年。
イケメンというよりも美青年という言葉がよく似合う。

そして重要な役割を果たす脇役
英語を話せない母親・ジュン
中国語が話せないリチャードの間で
通訳として雇われる
中国系英国人女性・ヴァンを演じるのは

ナオミ・クリスティ

彼女は公募オーディションからの大抜擢。

介護ホームでジュンに好意を寄せる英国人男性・アラン役は

ピーター•ボウルズ(Peter Bowls)

監督・脚本は ホン•カウ(Hong Khaou)

本作が初の長編映画になる
カンボジア・プノンペン生まれ、ヴェトナムで育ち、英国へ移住
映画の内容と同じように、
監督自身も移民で英国生まれではないが、
完全にバイリンガル。
英語も中国語も話すことができるが、
監督の母親は、映画のジュンのように
英語はあまりできないため、監督が子供の頃から
通訳の役割を、担ってきたという。

英語を話すことができない母親が
異国で暮らすこと、社会との繋がりとも言える、
通訳、ライフラインである息子を失ったら
どうなってしまうのか。
この映画はそんな監督の自伝ではないが
パーソナルな経験をいかして生まれた物語のようである

『追憶と、踊りながら』はこんな人にオススメの映画

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ゲイであり、愛する男性がいることを
カミングアウトするかどうかが主題ではなく

  恋人との関係、老いた親と子の関係、
  親に歓迎されない恋愛をしている葛藤
  愛する親を介護施設に入れなくてはならない現実
  移民が言葉の通じない土地で暮らすということ
  通訳を介することによって生まれる会話の齟齬(食い違い)

言葉というコミュニケーションツールが
必ずしも有効であるとは限らないんじゃないか?

大切な人を失ったあと、どう生きていくのか、
過去と、どう向き合っていくのか

そんな、誰の周りにもある
普遍的な問題を考えさせられる映画です。
ヒューマン系のドラマが好きな人にオススメの映画だと思います。

さて、ここから先は、
ネタバレ含む、ストーリーの結末も書いちゃう感想・レビュー
この映画をすでに、ご覧になられた方はお進みください。
「他人の個人的な映画評・感想なんか興味ねーわ」
って方はここまで、
お読みいただきありがとうございました!

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『追憶と、踊りながら』のもっと詳しいストーリー(ネタバレ含む)





この物語はただのゲイとしての葛藤だけではなく
普遍的であり、現代社会的でもある問題について
考えさせられる
美しい映画だった。

 

愛は記憶は、言葉をこえ、
食も言葉をこえるのかなぁ、と思ったのが
最初に観終わった直後の感想

この映画の物語は、
2人の人物が愛する者を失うことによって動き出す

青年カイは、愛する恋人のリチャードと同棲しているが
その関係を母親・ジュンに打ち明けることができずにいる。

青年カイは完全に
中国語と英語の両方を話すことができる
バイリンガルであるが

カイの母親・ジュンはカンボジア系中国人の移民である

息子の暮らしを良くするためという旦那について
イギリスに移住してきたが、旦那にとっては天国でも
英語が話せないジュンにとってはいくら住んでも
慣れない英国という土地、
異なる文化で暮らす、彼女は孤独だった

息子のカイだけが、
異国で暮らす彼女にとってライフライン
カイを介してしか、社会と関わりを持つことができず
英国人に帰化したといっても、英国人ではないし、
生まれ育った故郷のカンボジアに
帰ることもできない孤独を抱える母親は

息子のカイ
介護ホームに入れられたことを
「厄介払いされた」と感じている。

息子と同居する友人、
ということになっているリチャードのせいで
息子と一緒に住めない、追い出されたと感じていて
リチャードのことをよく思っていない。
それどころか明白に嫌っていることは

明日、母親にカミングアウトをしようと思う
という会話の中の

「君が母のお気に入りだったらよかったのに」

というカイのセリフ。

カイリチャードは、
深く愛し合う恋人同士であるが、
そのことを母親は知らない。

母親はカイに
「友達に優しすぎる」
という、あくまでもリチャードのことは
息子の友達としての認識だが
彼がいるせいで、息子と暮らすことができないと思い
疎ましく思っているのだ。

リチャード現代的な英国人青年
「母親にカムアウトして3人で暮らそう」
と提案するが・・・

母親の愛情(そして孤独も)を
誰よりも分かっているカイは
一人息子の恋人に対して嫉妬させるより
きちんと真実を伝えられるまで
友達のふりをしていて欲しいと・・・

しかし、カイも本当は打ち明けたい
しかし打ち明けようとすると、怖気付いてしまう
ゲイであることを、打ち明けられない葛藤
それは母親を愛しているからこそ、
傷つけたくない思い
もあるだろう

そしてリチャードと暮らす家に、
母親を招待し、
母にカムアウトしようと決意した矢先、
不慮の事故で亡くなってしまうカイ

遺された恋人のリチャード
カイの母親の面倒をみようとする
息子の真実を知らない母親、そして
共通言語を持たない彼らに立ちふさがる
コミュニケーションの壁

そこでベンは中国語が話せる
ヴァンという女性に通訳をしてもらうことにするが

言葉の壁、世代の差、文化の違い、
そして真実を伝えられない葛藤

遺品を引き取りに来て欲しいと伝えるも
遺灰をめぐり激怒する母・ジュン
そりゃそうだ、一人息子の遺灰
しかし、「撒いて欲しい」と願った
カイの願いを叶えたいリチャード

同じく愛する人・カイを失った共通事項があるのに、
気持ちを共有することができないもどかしさ

カイが生きていた頃の回想(追憶)が
それぞれの脳裏に蘇るが
その記憶はリアルなものか、
自分に都合よく改変されたものかもしれない




リチャードカイの家にジュンがやってくる

息子・カイが暮らした部屋でひとり佇む母親・ジュン

私がこの映画の中の演出で
最もうまいな〜って思ったのが

英国人であるリチャード
巧みに箸を使えることに驚くジュンのシーン。

多分、これで、母親リチャードカイ
ただの親友同士という関係ではなく
恋人同士だったということに、気づいたんじゃないかな?
と思わせるシーンが
すごくうまいな・・・と。
まあこれは、私がお箸の国の人だからかもしれんが。

ジュンリチャードのせいで介護ホームに押し込まれたと感じている

息子を亡くし、孤独なカイの母・ジュンのために
ジュンに好意を寄せる英国人男性・アランとうまくいくように
通訳を用意し、「ジュンの今後の人生が良くなるように」
尽くすリチャード
に対して、

「それは あなたの罪悪感でしょ」
と言い放つ、ジュン

「あなただって罪悪感でカイを縛った」
と言い返す、リチャード

通訳のヴァンを介し、言い争う二人




そして、とうとう
カイゲイだったこと、
自分が恋人で4年暮らしたこと
”カイが告げようとしていた真実”
ジュンに告げるリチャード

ここから通訳なしで会話が進む、クライマックスです。

母親に愛されなくなることを恐れて
真実を言えなかったカイ

 

バカな母親ね
息子の愛情を争おうとして
嫉妬してた

 

のこされた二人の
後悔と深い悲しみ、
愛する人を失った寂しいという気持ちを共有することで二人は
言葉をこえて通じあえたのか

束縛したわけではない
母親は子供のいつもそばにいたかっただけ

たとえ悲しくても忘れたくない思い出
孤独な人生にだっていつか慣れる

愛する人を失った日から全ては止まり
もう何もない
どこへも行くあてがなくとも
それでも
明日がやってきて
生きていかなければいけない孤独




超個人の適当な感想 <レビュー・勝手に映画評>

言語がなくとも感情で通じ合えるということ

・歌の記憶
・匂いの記憶
・味の記憶
・思いの記憶

この物語の最後に、
リチャードとジュンの心が通い合ったのは
言葉を超越した、そうした追憶の部分なんだろう。

私がこの映画を観て感じたのは
母親は息子がゲイであることを本当は知っていたのではないか
ただ、認めたくない気持ちが強いがために
リチャードに対する嫌悪になっていたのでは?

カンボジア系中国人であるジュンは、
実は6ヶ国語を話せるということが劇中で明らかになる。

私の経験から考えると、
複数の言語を理解できる人って、言語理解能力が
1ヶ国語しか話せない人よりも、
明らかに言語学習能力的にかなり有利だと思うんだが、
いくら、年齢がいってからの移住だとしても
英国に暮らしているのに
『英語』という割と簡単な言語
話せないというのは
あえて、覚えようとしなかったのでは?
自らの意に反して
英国で暮らすことになったことへの無言の抗議だったのでは?

カミングアウトは勇気がいることだとは思うけど
私はそれが絶対の正義とは思わないし、

お母さんは、カイがゲイであってもなくても
同じように愛情をそそいだだろうし
それがわかっているからこそカイは言えなかった、
いう必要があるとは思えなかったのかもしれないし・・・

「死んだ恋人の母親の面倒をみよう」
なんて普通は思わないだろう
リチャードがどれだけ深く
カイを愛していたかがその行動でわかる

みんなよかれと思って生きているし、やっている

罪悪感を背負っているかもしれないが
悪気はないのだなあ・・・とだけどうまく噛み合わないことも

色々と泣けるし考えさせられる映画。

個人的に一番のお気に入りのシーンは
カイとリチャードがベッドでいちゃこらしているシーンでの会話

「匂いも検索できたらいいのに」
「匂いを嗅ぐ趣味なの?」

とか、もう完全に
リチャード演じるベン・ウィショー主演
映画『パフューム』を彷彿させる演出。

きっと気づいた人だけニヤニヤしちゃうシーンなんだろうな。

まあ、大事件や大爆発が起こったりしないし
ちょっと静かすぎてつまんないと感じる人もきっといると思うけど
『追憶と、踊りながら』いい映画ですよ。

リチャード役のベンが主演の『パフューム〜ある人殺しの物語』Huluで観られるよ。

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